八鹿酒造株式会社|YATSUSHIKA BREWERY CO.,LTD.
なしか!わ〜るど
Boy's Mind 1950
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正月映画の立看板
「正月映画の立看板」は師走の町に現れた。正月映画といえば東映のチャンバラものが全盛であった。忠臣蔵や清水の次郎長ものが人気で、片岡千恵蔵、市川右太衛門、東千代之介、中村錦之助、大川橋蔵、大友柳太朗などの看板スターが、それこそ看板になる。女優陣も千原しのぶ、丘さとみ、大川恵子などがずらりと揃う。そして東映スコープ・総天然色ときて2本立てである。もうこうなったら正月は映画に行くしかない。ストーリーも単純だからバカゴにもよくわかる。クライマックスでは拍手が鳴りやまない。本当に夢のような正月を与えてくれたのだ。バカゴたちは学校の帰りにその看板の前から動かなかった。
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セーター
「セーター」は自家製が当たり前であり、既製品などは高価で、貧乏なバカゴのものではなかった。編み機の爆発的普及がこの頃で、町のあちこちに『蛇の目編み物教室』などが現れた。そこで教わった母親が作ってくれるんだが、毛糸も高価だからほとんどリサイクルである。去年のばあちゃんのショールや家族の他のをほどいて、毛糸を蒸気でのばして球にし、それが編み機でバカゴのセーターに生まれ変わる。決まって胸の所に横ラインの入ったデザインなんだが、その位置がズレていたりして、個性があった。中には胸にSなんかの文字を編んだのなんか着ている生意気なやつがいて、みんなから「おい、えす」とひやかされていた。それでも威張っていた。
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紅白歌合戦(ラジオ)
「紅白歌合戦(ラジオ)」大晦日の夜は興奮が最高潮に達する。なんといっても紅白歌合戦である。テレビ放送が始まっていたが、当時まだテレビがない家が多く、ラジオの前に集まってドキドキしながら聴くのである。「ゆく年を惜しみ、来る年に幸多かれと祈る、大晦日の夜。全国の皆様いかがお過しでしょうか。はい、白組司会の高橋圭三でございます」もうこれだけで拍手である。「それでは、曾根史郎さんに歌って頂きましょう。『若いお巡りさん』どーぞー」で大拍手。応援団の柳家金語楼さんの他愛のないシャレに家族みんなが転げ回って笑う。そんなふうにして一年が幸せに納まっていた。
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なしか!のはなし
五右衛門風呂
バリカン
バンド
検便
ラジオ
ばあちゃんのミシン
ボンネットバス
おくど
父のふんどし
洗濯板
ヒューズの交換
オート三輪
正月映画の立看板
セーター
紅白歌合戦(ラジオ)
レンタンの炭
「チェッ!」
年寄りの自慢話
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