八鹿酒造株式会社|YATSUSHIKA BREWERY CO.,LTD.
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なしか!の風景...
昭和30年代。それは戦後復興から高度成長へと向かう時期でした。敗戦の傷跡もところどころに残り、その後処理と同時に豊かで明るい未来の生活というものにまっしぐらに向かっていました。
父親はモーレツに働き、母親は家事に忙しく我々「ばかご」は、そんな毎日をただ面白く夢中になって遊んでばかりいました。
大人がすごく大人であり、子供は果てしなく子供であった時代だけに、お互いのコミュニケーションも、お互いの立場を尊重するという前提がしっかりとしていて、噛み合っていたようでした。今になって考えるとそれが、戦後民主主義の基礎のようでさえありました。
特に我々のふるさと九州の大分県はキツい方言が多いのですが、それだけに本音もストレートに伝わり、人間が人間として生きていく上で考えなければならない様々なテーマを内包しています。
その中のひとつが「なしか」という言葉です。「何故か」という意味ですが、この言葉は誰に向かっているのかというと、話す相手であるばかりでなく、自分に対して、また広く世間に対して、そして世間の決まりごと、つまり、常識というものに対してまでも疑問符を投げかける広域で、強力な武器なのです。この武器は主に子供の持ちものとなっているところが、面白い仕組みです。
一般常識の中にある矛盾点を探し出し、その解明のためのメスとしての言葉が「なしか」です。それに対して、常識を常識としてしか理解しない大人は困惑してしまいます。困惑しながら、そう言われてみると、たしかにおかしいなぁ。と考えさせられてしまうのです。そんな不思議なパワーを持った「なしか」の世界をまとめてみました。