酒造り技と伝統の技

酒を愛し、酒造りを
自らの天命と知る者のみに
与えられた妙技が美酒を醸し出す。

酒造りの精神は
武士道に通じるものがある。

常に神が傍にいて、
その心を見ているからである。

酒は人が神に仕えて造るものなのかもしれない。

江戸期より精魂傾けてきた八鹿の清酒造り

 酒造りの精神は武士道に通じるものがあります。常に神が傍にて、その心を見ているからです。

八鹿には三代目観八の残した「笑門」の大額があります。笑門というのは、たんに“笑う門には福来たる”というだけではなく、この額の下を通る時はみんな笑顔で通りなさい。という意味で仕込蔵へ続く通路に掲げてあります。酒を造るのは酵母、すなわち生き物です。

穏やかで平和な心、愛情を持って接しなければ良い酒は造れないという考えからです。先代が残してきたこのような心理は、現代の八鹿酒造にとってかけがえのない財産です。

江戸期より精魂傾けてきた八鹿の清酒造り

酌めどもつきぬ酒

 八鹿の酒は淡麗辛口です。しかし、この味は時代とともに変化し、革新を遂げた味わいなのです。

80年代に入り日本人の生活は豊かになり、飽食の時代といわれる時を過していました。菓子も甘さを控えたものが好まれるようになり、「八鹿の味は甘いのではないか」という疑問を感じ始めました。しかし、この味を好きでいてくれるファンも多く、57年・60年には全国新酒鑑評会にて金賞受賞の実績もありました。味を変えたら八鹿ファンは離れてしまうのではないかという不安もありました。何年も悩んだ末、昭和60年、「これからの時代に相応しい、より洗練された酒を造っていこう」と決心しました。

怖れていた通り、「辛い」「水っぽい」という批評が寄せられましたが、次第に八鹿の味は凛としたキレを見せ始めた。そして昭和63年には全国新酒鑑評会にて3度目の金賞を受賞しました。

「理想の酒は酌めどもつきぬ酒。」八鹿酒蔵は常に新たな一歩をふみだし、これからも歴史を創りつづけていきます。

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